About.1 アンリ・ムリエ&AFAFについて
Contents.1
アンリ・ムリエの
ご紹介
AFAFの創設者であり、会長を務める
アンリ・ムリエをご紹介します。
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アンリ・ムリエの経歴
1950年、フランス南西部ガスコーニュ地方ジェール県で生まれる。
1977年にパリで初めてのブティックを開店。
ポンピドゥー大統領の時代からシラク大統領に至るまで、フランス歴代5名の大統領と25名の首相はじめ、多くの政治家・王室・皇室・財界・モード界の多くの方に長く支持されている。同様に、国外でも花の創造活動によって「ムリエ・スタイル」を世界に広げ、その技術の高さは、国内外でのフラワーデザインのコンクールにおいて、審査員として例年招聘されている。
その功績が称えられ、フランス最高勲章Légion ďhonneur(レジオン・ドヌール)を受章。
現在、パリ7区・国会議事堂前に2店の花店を所有。2003年11月AFAFを創設し会長に就任。現在に至る。
Contents.2 私たち協会について
私たち協会の3つの特徴 Feature
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Feature.1 日本における
フラワーアレンジメントの
歴史について日本の伝統的な「いけばな」ではない【西洋式フラワーアレンジメント】は、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、オランダ等から様々なスタイルが入ってきました。
その中でも、ドイツ様式が現在の基礎を築き、けん引してきたと言っても過言ではありません。日本人と同じように理論的で構築性の強いドイツ様式は受け入れやすかったようです。
その一方で「花の都パリ」と言われているフランスは、実際にアレンジメントの世界で浸透するのに時間を要しました。
今世紀に入りドイツ様式から少しずつ自由さを求めて、フランス様式が認知され始め、現在では色使いや豪華さ、グリーンの使い方と共に脚光を浴びるようになりました。
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Feature.2 フランスの花業界のお話
フランスには、日本のカルチャースクールのように趣味でお花を学べる学校は数多くなく、その代わりに花店を営む「フローリスト」のために必要なプロ養成の公の学校があります。
お花の需要が高いフランスですが、個人で花を買ってアレンジする事は殆どなく、花店で花束を作ってもらい、そのまま花瓶に活けたり、また贈り物にするのが一般的です。
また“フラワーデザイナー”という職業・肩書もなく、誌面等で活躍されている方々は皆さん花店の経営者=フローリストです。
そして、あまり知られていませんが、花の業界においてフランスという国が発行する公の資格は、CAP(職業適性証)とBP(職業証書)といわれる2つしか存在しません。これらは1970年代にフローラルアートの学校教育やコンクールが始まり、フローリスト養成コースが公教育に導入され、職業能力を証明する免状として交付されるようになりました。
これらは、フランス語が堪能なことはもちろんのこと、デザインの勉強以外に花の知識全般も学び、実際にフランスの花店勤務の経験がなければ取得できない資格です。
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Feature.3 テキストについて
日本では気軽に『はじめてのフラワーアレンジメント』のようなテキストを書店で手にする事ができますが、パリでは大きな書店でも作品集は並んでいますが、テキストを見つけるのは至難の業です。
理由の一つとして、先ほども申しましたが、フランスでは個人が家庭でお花をアレンジする事は殆どなく、花店でブーケやアレンジメントを買ってくるのが一般的だからです。
なので、アレンジメントの作り方の本は必要なかったのです。また、フランスは個性と感性を尊重するお国柄です。テキストに写真が載っていれば同じように作ろうとします。日本人の私たちは抵抗を感じませんが、“フランスの花のプロ=フローリスト”を養成する学校の先生は…
1)テキストと同じ作品を作ろうとして、個性や独自性を表現しにくくなる。
2)自然の花には一輪として同じ形状のものはないから、テキストと同じようには作れない。
3)1つの作品を作るのにも、なぜこの1本をここに挿すのか意味を考えない。
などテキストの弊害について述べていました。AFAF会長ムリエも当然同じ考えでした。しかし私たちは、全く文化の違う日本人にフランスのお花をより深く理解していただくためには、テキストが必要と考えており、この考え方は大変大きな壁でした。その一方で、裏を返せば他にはないというチャンスでもありました。
テキスト作りに強固に反対し、大変な抵抗を感じていた会長ムリエと何度も協議を重ね、必要性を説いた結果、“フランスの宮廷文化と共に発展してきたフローラルアート”のテキストを作成することに納得してくれました。
そして、会長が長年にわたり、パリの花店の第一線で活躍してきた経験を活かし、1つずつ作品を制作し、作り方のポイントや歴史・文化などの解説をした3コースのオリジナルのテキストができました。
初級13作品、中級16作品、上級15作品、計44作品を掲載しています。
コンセプトは『花を通じてフランス文化を理解する』です。
このような経緯から、AFAF認定校ではこのテキストを基に活動していただいています。
Contents.3
フランスフローラル
アートとは?
フランスフローラルアート協会(AFAF)が考える、
“7つのフレンチスタイルのフラワーアレンジメントのポイント”をご紹介します。
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1個性を尊重するデザイン
フレンチスタイルのフラワーアレンジメントは、デザイナーそれぞれの個性が溢れるデザインです。
個性を尊重するデザインは、一見するとルールや理論がないように思われますが、決してそうではありません。 物まねや模倣を最も嫌い、個性や独創性にこそ評価が高いというフランスの価値観の表れです。個性の尊重とは、勝手気ままではありません。
それは、職能としての高度な技能に培われた造形テクニックをベースにデザイナー個々によって作られています。
※この花のデザインに個性をどう加えるかが、フレンチスタイルのフラワーアレンジメントを教える指導カリキュラムの中心テーマの一つとなっています。 -
2クラシックとモダンを生かす
フランスの花のデザインの特徴は、トレンド(流行)ばかりを追いかけてはいないこともその一つです。
超モダンなフローラル・オブジェがホテルのロビーに飾ってあるかと思うと、最新流行のファッションに彩られた店の奥に、アンピール様式のアランジュマンが伝統の深みと存在感を強調するように置かれています。
フランスのクラシックな造形は、伝統的な時代様式の特徴を踏まえて作られており、そこにフランス文化の厚みや深さを感じさせます。
中世以降では、ゴシック、フランスルネサンス、ルイ13 世/14 世様式(バロック)、ルイ15 世様式(ロココ)、ルイ16 世様式(新古典主義)、アンピール様式(ナポレオン様式、帝政時代)、ロマン主義、アール・ヌーヴォー、アール・デコ、そして現代の花のデザインへと、どれもが魅力ある姿形です。
※AFAFでは現代のスタイルと共に、これらの時代様式を学び、現代に活かすカリキュラムが組まれており、作品づくりの幅を広げることができます。 -
3花の装飾性を尊重する
[1930 年代のアランジュマン]のように、花の自然性を尊重して作る作品もありますが、フレンチスタイルのフラワーアレンジメントの特徴の一つに、花が本来持っている「美しさ」「豪華さ」「華やかさ」「可愛さ」「優しさ」などの装飾性を生かすデザインがあります。
そのために花をまんべんなく散らして配置するのではなく、同じ花同志をグループにまとめながら配置して、それぞれの花の装飾的な特徴をアピールさせます。
この方法は、花をマッスとして扱うという考え方にも通じています。
特に、フランスの造形にはこの特徴がよく現れています。一輪ずつでは目立たない花も、マッスで用いることで、華やかな印象を与えることが出来ます。 -
4花を踊らせるように
よほど特殊な造形は別にして、ひとつの作品を作り上げる時に花扱いで注意すべきことの一つに、fairedanser les fleurs 「花を踊らせるように」という注意があります。
それは花をまんべんなくびっしりと埋めるように配置するのではなく、花どうしがダンスをするように、くっつき過ぎず離れすぎず適度な間合いを取るように配することを意味しています。
このテクニックは、言うは易く行うは難しですが、正しい訓練が最上の近道です。
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5丸い花束は、パリの花束
花束の基本的な形は、丸い花束です。
少女が野原で花を摘みながら、自然に手の中で束ねて出来上がった、そんな素朴で可愛らしい花の束が丸い花束の始まりといわれています。 フランスのフローリストの仕事で、ヴィオレットの花と葉だけで作る花束も昔からある丸い花束の一つです。
この花束には、丸い形状の花がお似合いです。でも形はますます平凡なものになります。
そこで単純さを補う隠し味に「香りのよい」
花を1~2 種類必ず入れて作るのもフランス風といえるかもしれません。
そんな花束を小脇に抱えて恋人の元へと急ぐあなたを想像してください。 -
6葉のモダンな使い方
フレンチスタイルのフラワーアレンジメントは、葉ものにも添え物以上の活躍をさせます。花自体に加工を施すことを好みませんが、葉に加工を加えてデザイナーとしての個性やオリジナリティを表現します。
丸めて直線の造形を強めたり、何枚も重ねて面と層を固定します。そのために、あえてホチキスや両面テープも使います。
また、花束の束ね位置より下に出ている茎を隠すために幅広の葉を逆に配置することもあります。これは、花束が束ね部分から上の花たちによって出来ているのではなく、茎部分も含めて一つの作品だとの考えから、裏方のメカニックス部分も装飾するというものです。 -
7花の配色の妙
フレンチスタイルのフラワーアレンジメントの特徴として、誰もが指摘することに「配色の個性的な美しさ」があげられます。そこには芸術の都パリだからこそ、と思わせる色使いです。
さすが印象派を始めとする多くの画家たちを生み出した色への感覚的な伝統が、フローリストの店先に溢れています。
確かに、配色の調和に関する考え方はほとんど私たちと違いはありません。でも「ああ、フランスの」と思わせる配色は何なのか。ひとつだけお教え出来ることは、「花は一つの色だけで咲いていない」ということ。
1 輪の花の中に含まれる幾つもの色を繋げることで、微妙で深みのある、華やかでシックな配色が生まれます。
※他にもまだ幾つもある配色の秘儀は、セミナー等で学ばれてください。